丸亀が生んだ画家 猪熊弦一郎

MIMOCAの魅力を学芸員に聞く

~世界一!猪熊作品のコレクション美術館~ 取材協力:学芸員 古野華奈子さん

古野さんが猪熊先生の作品に初めて出会ったのは、通っていた丸亀高等学校内図書室にかけられた壁画「風車と太陽」を見たときだった。初めての抽象画を前に「とてもきれいな絵」と感動したという。1997年から美術館に勤めて以来、猪熊アートと共に歩み、その魅力をずっと感じてきている。

美術館には画伯から寄贈された作品約2万点が所蔵されている。個人名の付いた美術館は全国にたくさんあるが、一人の作家の作品がこんなに集まっていることは極めて珍しいという。その理由には、こんなエピソードがある。

藤島武二に師事していた画伯。「作品は手元に置いておくように」と教えられ、自分の好きな作品は手放すことなく、大切に保管し続けていた。美術館にはそういった作品が集まっているということだ。「猪熊作品のコレクションでは世界一の美術館。猪熊弦一郎を知るには絶好の場所」と古野さん。

画伯の人柄についても「『本当にいい人だった』とよく耳にします」と触れた。その人柄の良さは美術館のあり方に託されているともいう。『自分の作品以外にも、現代美術を伝えてほしい』『子どもが本物に触れることによって、美しいものが分かるようになってほしい』『美術館は心の病院』など。

企画展では世界各国の現代美術を紹介、子どもたちが美術に触れるワークショップ、開放感あふれる素晴らしい建物。至るところに画伯の思いが詰まっている。

古野さんは「これらの役目を担っている美術館なんです。建物そのものが猪熊作品ですね」と笑顔で語ってくれた。

開放感を感じる天井の高さと自然光
開放感を感じる天井の高さと自然光
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